夏休みをイタリアで過ごす転地保養
“カーサ・オルト – イタリアのみんなの家”
オルト・デイ・ソーニの転地保養プログラムの目的は、福島の原発事故で被災した子どもたちを放射能の不安から解放し、健康維持と免疫力の向上、異文化の中での好奇心や自立心の向上を支援することです。
本プログラムは「カーサ・オルト – イタリアのみんなの家」をテーマに掲げた1ヶ月間の共同生活です。私たちが考える健康的な環境のもと、日本人、イタリア人の仲間たちと家族のように協力をし合い、日々の暮らしを丁寧に楽しみながら営みます。
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1ヶ月という短期間での保養ですが、放射能の不安から解放され、汚染されていない食事を摂り、子どもらしく健康的に過ごすことは、体内の放射能を排出し、心身の健康を維持するための免疫力、抵抗力を高めることができます。この事実は、’86年より多くのチェルノブイリの子どもたちを受け入れ続けてきたイタリアで実証されています。
帰還困難区域が解消された日本において、子どもたちが除染では対応しきれない放射線量の高い地域で暮らす可能性があります。心身ともに子どもたちの健やかな成長を応援し、多様な文化を体感して視野を広くし、自分で考える力をつけていって欲しいと願っています。
参加者の子どもたちは、2012年〜2019年までの転地保養中には、イタリア現地の医療機関の多大なるご支援により、エコー検査、血液検査、尿検査を無料実施し、2020年以降は、保養出発前に、日本の公式パートナー「認定NPO法人 いわき放射能市民測定室 たらちね」にて健康診断、エコー検査、血液検査を無料実施、イタリアにて尿検査の実施を計画。これら検診の取り組みは、お子さまの継続した健康維持のためのにご家族にその結果を役立てていただくことを目的にしています。
だれが対象者?
福島の中でも、特に放射能の不安や強制避難の影響が多い地域に住み、社会的・経済的な理由などから移住や海外への留学などの機会を持てない8~12歳までの子どもたちです。
どうしてイタリアで?
2011年の原発事故後、たくさんのイタリア人たちが「何か私にできることはないか?」と声をかけてきました。社会に根付いた慈善の心とホスピタリティから、福島の子どもたちへ必死に手を差し伸べたいと願う多くのイタリア人がたくさんいるです。
そして、イタリアは、1986年のチェルノブイリ原発事故を身近に知る国。この事故以来、多くの一般家庭やNPO団体が、チェルノブイリの子どもたちを招く転地保養に携わってきました。また、2011年6月、イタリアは国民投票によって「脱原発」を表明。私たちは、このような背景を持つイタリアで、活動実績のある現地の人々と協力体制をもって、当プログラムを進めることができるのです。
さらに、豊かな自然と食文化に恵まれたイタリア、家族や仲間を大切にし、遊び心や創造力にあふれるイタリア人。子どもたちはこの地で、さまざまな生き方や価値観があることを感受し、視野を広げ、好奇心を高めることができるでしょう。それらが「生きる力」に繋がる、と信じているのです。
子どもたちの元気のために
オルト・デイ・ソーニは、イタリアでの転地保養プログラムを、イタリア現地家庭への「ホームステイ」という方法ではなく、自然環境に恵まれた宿泊施設での「集団ステイ」というスタイルにて推進しています。それはまさに、多様なプログラムをみんなで共に体験しながら、「大家族」のようにひと夏を過ごすプログラムです。
まず私たちは、イタリアだからこそ実現できる3つの柱(自然との共生、心身を育む豊かな食、視野を広げる体験)に基づいたプログラムを実施することで、子どもたちに心身の元気を取り戻し、夢に向かう逞しさを育んでほしい、と願っています。1ヶ月という期間、この目的を子どもにとって心地よい環境の中で達成するためには、集団ステイが安全かつ有効であると判断しました。
イタリア人家庭は、子どもにとって新しい発見に充ちていることでしょう。しかしながら、スキンシップひとつをとっても、日本の習慣とは大きく異なる環境です。外国語のコミュニケーション能力に限界のある小さな子どもたちが、食生活をふくめた文化の差のほか、8時間という時差を超え、新たな環境に順応してゆく過程には、心の栄養となる経験よりも、ストレスを多く抱えるリスクの方が高くなる可能性が想定されました。4週間という限られた時間で、最大限ディトックスをし、心身に充分な栄養を取り込むには;
① 規則正しいリズムでの生活
② 野菜や果物など自然酵素を多く含む、バランスの取れた食事
③ 心身ともに安心できる環境でリラックスすること
などが必須となります。またデトックスの過程に発生する好転反応において、体調を崩す可能性を多く抱える子どもたちですから、自分の体調を周りの大人に正しく伝えられないことは不安です。
イタリアのすばらしさを効果的に心と身体の栄養にしてほしい、と願ってこのプロジェクトに取り組んでいます。ステイ中のプログラムは、現地の人々と交流をしながら、その文化を体験するものとなっています。イタリアに滞在しながら、子どもたちをイタリアから隔離するのではなく、日本の福島という場所からやってきた小さな子どもたちの性質とペースに合わせ、イタリア文化を吸収・消化しゆくという集団生活です。
私たちは、ひとり一人の子どもたちと向き合える環境を重視し、彼らが安心・安全・健康にすごせるよう全力を尽くしています。それはまた、子どもたちのご家族の心のケアにも通じ、彼らが安心して子どもたちをイタリアへ送りだし、見守れることに繋がる、と信じているのです。
インターンシップ制度
当協会は、より充実した協会運営、日伊青少年の国際交流向上を目的として、2015年2月より在ヴェネツィア 「カ・フォスカリ大学」との協議のもと、大学からの研修生を受け入れる「カ・フォスカリ大学連携協力 インターンシップ制度」を導入しました。5年目となった2019年度は、当協会による書類審査と面接を経た4名の研修生が参加しました。6年目となる2020年度も、4名の研修生が決定しておりましたが、世界的な新型コロナウィルス蔓延による転地保養開催が中止となり、次回開催時への移行となりました。
→当制度について詳しく見る
過去の転地保養の様子
(第1回2012年〜第8回2023年まで)
過去の転地保養の様子は、年別の報告書をご覧ください。プログラムの様子、子どもたちの声、ご家族からの手紙などをまとめています。